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水戸地方裁判所 昭和57年(わ)33号 判決

本店の所在地

茨城県土浦市手野町三四三一番地

法人の名称

有限会社 久保田製缶

代表者の氏名

久保田文也

本籍

茨城県土浦市手野町一〇四〇番地の一

住居

同所 一〇四〇番地の二

会社役員

久保田文也

昭和一六年六月一五日生

主文

被告有限会社久保田製缶を罰金七〇〇万円に、被告人久保田文也を懲役八月にそれぞれ処する。

被告人久保田文也に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社「有限会社久保田製缶」は、茨城県土浦市手野町三四三一番地に本店を置き、建設機械部品の加工、販売等を目的とする資本金二、〇〇〇万円の有限会社であり、被告人久保田文也は、同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人久保田は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空仕入、架空修繕費の計上、売上の一部除外等の方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一、二三〇万一六二円で、これに対する法人税額が四〇八万円であったにもかかわらず、同五四年二月二八日、同県土浦市城北町四番一五号所在の「土浦税務署」において、同税務署長に対し、所得金額が零円であり、納付すべき法人税額は零円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度の正規の法人税額四〇八万円を免れ、

第二  昭和五四年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二、四八〇万六、五一八円で、これに対する法人税額が九〇八万二、四〇〇円であったにもかかわらず、同五五年二月二九日、前記「土浦税務署」において、同税務署長に対し、欠損金額が三一万三、八一九円であり、納付すべき法人税額は零円である旨の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度の正規の法人税額九〇八万二、四〇〇円を免れ、

第三  昭和五五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四、七五〇万七、九九一円で、これに対する法人税額が一、八一六万二、八〇〇円であったにもかかわらず、同五六年二月二八日、前記「土浦税務署」において、同税務署長に対し、欠損金額が二八三万三、八八〇円であり、納付すべき法人税額は零円である旨の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度の正規の法人税額一、八一六万二、八〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一  土浦税務署長作成の各証明書

一  検察官作成の報告書

一  検察事務官作成の昭和五七年一月一二日付捜査報告書

一  大蔵事務官作成の売上除外等調査書、簿外厚生費(製造原価)調査書、架空修繕費(製造原価)調査書、簿外接待交際費調査書、雑収入除外調査書、現金・預金の調査書及び「個人収支調査書類」と題する書面

一  久保田ふみ江の検察官に対する供述調書

一  被告人の大蔵事務官(六通)及び検察官(二通)に対する各供述調書並びに当公判廷における供述

判示冒頭の事実につき

一  登記官作成の登記簿謄本

判示第一ないし第三の事実につき

一  検察事務官作成の同年同月二一日付報告書

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の「調査所得(調査による増減金額)の説明書(一)」と題する書面、架空外注加工費調査書及び繰越欠損金控除調査書

判示第二及び第三の各事実につき

一  大蔵事務官作成の減価償却費(製造原価)の調査書及び事業税認定損調査書

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の「調査所得(調査による増減金額)の説明書(二)」と題する書面

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の「調査所得(調査による増減金額)の説明書(三)」と題する書面、架空材料仕入高調査書、たな卸高(材料)調査書、架空消耗品費(製造原価)調査書及び受取利息等調査書

(法令の適用)

被告会社につき、昭和五六年法律第五四号「脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律」による改正前の法人税法一五九条、一六四条一項

被告人久保田につき、右改正前の法人税法一五九条、懲役刑選択、刑法二五条一項

検察官 五木田彬 出席

(裁判官 小田部米彦)

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